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ふとチハルの顔を見るとこちらに向き直り、神妙な顔をしている。
「あのさ、チナツ。今まで隠してたことがあるんだ」
「んん? これ以上私達に何を隠すことがあるのさ。
私は感情で血の色が変わる化物だし、あんたは血を飲まなきゃ倒れる化物でしょ?
これ以上隠さなかきゃいけないことってある?」
平然を装いながら、隠し事なんて言葉に少しだけ頭に来ていた。
きっと今の血の色は灰色だろうと思いながら、受け答えする。
もしくは、隠し事をされていたショックで、紫か何かに変わっているだろうか。
思えば私は自分の悲しみの血の色を知らない。
「ある、あるんだよ。俺が救急車を、病院を嫌っていた理由」
「病院って言っても、献血を受けるだけでしょ? それが嫌だったってのが隠し事?」
「そう、献血は嫌だった。でも言いたいことは違う、違うんだ。
俺はね、チナツ。確かに血液を定期的に取らなきゃいけないんだけれど、それ以上に、体に取り入れた血液の持ち主の感情が分かるんだ」
急な告白に頭が混乱する、感情が分かる……?
じゃあ私の血が灰色の時は彼は私の怒り感じていて、緑色の時は不快を感じていて、青い血の今は……。
「待って、待って、じゃあ、あんたずっと」
「ごめん、ずっと黙ってて」
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