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赤が興奮なら、緑が不快なら、黄色が陽気なら、灰色が怒りなら、青は恋か愛なんでしょうよ!」
早口で捲し立てる、今私の体から血を抜けば、きっとそれはそれは綺麗な虹色になっていることだろう。
顔を手で抑えて俯く私の肩をチハルはグっと抑えて、こんなことを言い放った。
「俺がもしキミとおんなじ体質なら、俺の血も今、きっと青い」
なんて台詞だ。顔をあげてチハルの顔を見ると今までに見たことのない真っ赤な顔をしていた。
力が少しずつ抜けていく。これは、きっとそう、そういうことだ。
ああ、なんだ。なんだなんだなんだ。そんなことが、そういうことがあるのか。
「もう隠し事は無しにしよう。キミは、僕が好きで。僕は、キミが好きだ」
本当に変な人だ。変で、面白くて、愛しい人。
あの日、声をかけて良かった。本当に、良かった。
私の肩を掴んだままのチハルを抱きしめる。私の恋心を知っていた分の腹いせに、彼よりも少しだけ力を込めて。
「これから、私の血がずっと青くても、笑わないでよね」
けれどもしかしたら次に見る血の色は青では無いのかもしれない。
「どんな色でも、受け入れるよ」
だって私はまだ、自分の血が彩る幸せの色を知らないのだから。
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