0人が本棚に入れています
本棚に追加
人間界での悪魔の評判は悪いもので、悪魔に自分から関わろうと思う人間はいないからです。
だから悪魔の涙が雨のように降っていても、落ちた涙で悪魔の足許に湖が出来、魚が泳いでいても、誰も青い悪魔には見向きもしませんでした。
青い悪魔は来る日も来る日も青い空を眺めては故郷の紅い空を想い、ほろほろと泣きました。
もう足許の湖は海ほどの深さになっていて、主が棲んでいる、という噂もあるほどでした。
このまま足許の海に身を投げて生き絶えてしまおうか。
毎日泣くことに疲れた青い悪魔は、足許の青い水面を眺めました。
悪魔をみる人間の眼も、確かこんな色でした。
冷たく、触れればやけどをしてしまいそうな程冷たい青色です。
青い悪魔は青なんて大嫌いになっていました。
青い自分も、青い空も、青い目線も、青い涙も、青い海も、湖も、みんなみんな嫌いになりました。
なくなってしまえとも想いました。
でも世界をなくすほどの力は青い悪魔にはありませんでした。
なので、それよりももっと少ない力ですむ、自分をなくしてしまう方法をとることにしました。
足許の涙の海に、ぽちゃんと頭をつけるだけでいいのですから。
ぽちゃんと沈めて、くるしくっても我慢して頭をつけているだけでいいのですから。
最初のコメントを投稿しよう!