0人が本棚に入れています
本棚に追加
「でもね。とっても寂しくても、自分から出て行っちゃ駄目なんだよ。だってそれだと、嫌々出て行った人達がかわいそうだから。」
「お兄さん、寂しいから出て行こうとしてたんでしょ。」
言葉を失っている悪魔に対して、少女は確信に満ちた声で告げました。
悪魔はまたどきっとしました。
『ううん。違うよ。この小さな海の中に生きる主を覗いていたんだ。』
「ぬし?おさかながいるの?」
女の子は先ほどまでの確信をつくような表情から一変して子供のような無邪気な笑顔に変わり、目を輝かせました。
『うん。こんなに、大きいのが。』
悪魔は両手を使って見刷り手振りで魚の大きさや特徴を女の子に伝えようとしました。
「わあすごい!そんなに大きなお魚見たこと無い。見せてっ」
女の子は内側に青空の描かれた傘をさしていました。
最初のコメントを投稿しよう!