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あぁ、あれ雪乃だったんだ。やっぱり。
「翔太くんの口、手で開けて入れてあげようとしたんだけど、うまくいかなくて」
何故かそこで、雪乃、言葉を区切って言いづらそうにする。なんだよ。気になるじゃないか。それで? と促すとようやく雪乃が口を開いた。
「あんまり苦しそうだったから、私、口移しで翔太君の口の中に氷を入れたの」
クチウツシ?
一瞬何を言われたのかよく分からなかった。口移しって言ったよな。ようやく言葉が漢字変換される。口移し……ってことはマウストゥマウスというわけで……。マウストゥマウスってことは……キスじゃないかぁっ。
「……雪乃、そういう事は、好きなヤツとすることだぞ」
わななきながら言うと、黒目がちな瞳が俺をとらえる。真っ直ぐな視線。
ぐらりと心が動いた。
もしかして、もしかしてだけど、俺はうぬぼれていいんだろうか。
言ってしまおうか。
えぇい、言ってしまえ。
「雪乃、俺、お前の事が好きだ。つきあってくれ」
雪乃がこくりと、布団の中でうなずいた。
俺は、雪乃の唇にそっとキスをした。
今日からは、幼なじみじゃない。
初めての、恋人としてのキス。
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