幼なじみのアイツ

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 それで安心したのがいけなかった。 しばらくして振り返ると、雪乃の姿はどこにもなかった。  どこへ行った、雪乃。  俺は、迷った雪乃が行きそうな階段のすみとか……なんかそんなイメージでさ……、もしかして……トイレか?と思って女子トイレの前に行ってみたりした。  それでも雪乃は見つからなかった。  俺がホントにあせり始めた時、館内アナウンスが、ピンポンパンポーンと鳴り響いた。 ??今井雪乃さまのお連れ様、正面玄関入口カウンターにて雪乃さまがお待ちです??  俺は慌てて階段を駆け下りた。 エスカレーターやエレベーターを使えば良かったんだが、なぜかそこまで頭が回らなかったんだ。  雪乃のところに着いた時には汗をかいて息を切らしていた。  はあっ、熱い。はあっ、なんでここ、こんなに暖房かけてるんだよ。  雪乃が、走り寄る俺の姿を見つけて、すまなそうに肩をすくめる。俺はほっとしたのと同時に、 「俺の側を離れるんじゃねーっ」 と言ってしまっていた。     
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