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「でもまぁ、しばらく休んでけば? まだそこまで遅くないし」
左手に付けていた腕時計で確認すると時間は19時30分。
いつもならもう家に帰っている頃だけど、確かに高校生ならまだ寄り道していてもおかしくない時間だ。
私の返事を聞くまでもなく彼はさっさと食器を片付けテレビを見ながらくつろいでいる。
20時になったら帰ろう。
そう心に決めて邪魔にならないよう体を小さくし、次々と流れていく映像を眺めていた。
今頃、お母さんは心配してるかな。
少しでも遅くなりそうな時は電話していたから、いつもと違う様子に不安になってないだろうか。
それか、もう高校生なんだからこんな日もあるってあっけらかんとしてるかも。
拓真はまだ部活で学校に残っているだろう、お父さんはもう仕事が終わって家に帰る途中くらい。
いつもなら、いつもならお母さんと一緒に夕飯を済ませて、お風呂にお湯をためて、自室でちょっと漫画読んだりとかしてる時間。
なのに今日は名前も知らない、同い年くらいの男の子の部屋でテレビとそれを見てる彼を眺めてる。
不思議な気分だった。
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