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第1話:黒く、染まる
その日はとことんツイてなかった。
宿題は忘れるし、先生の悪口言ってたら後ろで本人が聞いてたし、友達のシャーペン踏んで壊しちゃったし。
極めつけはコレだ。
「ちょっと、今どこに行ってるの!」
「いいから走れって、捕まっちまうだろ!」
通学でお馴染みの町並みは、夜になるとガラリと変わって知らない所のように思えた。
しかも、がむしゃらに走り回っているせいでグルグルと景色は変化していき、自分が今どこにいるのかさえ、もう分からない。
頼みの綱は私の腕を引っ張る大きな手。
どこの誰かも知れない彼が私の命運を握っている。
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