第2話:めぐり、めぐる

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◆ ◆ ◆ まどろみの中で私はたゆたっていた。 ふわふわとした温かい何かに包まれて、気持ちいい。 誘い込まれるようにその温かさを求めて擦り寄る。 甘い、香りがする。 この香りを私は知っている……。 嫌な予感がして恐る恐る目を開いた。 眩しい光が走り去ったのち、視界に飛び込んできたのは明るい髪色と逞しい男の体躯。 「嘘っ……!」 こうして私は飛び起きた。 心臓がやかましく鳴り響く。 その度合いは視界をも揺らすほどに荒々しい。 ややあって、それは単なる寝ぼけ眼によるブレだと分かり、安堵と気疲れにため息をついた。 「……夢か」 朝っぱらから心臓に悪い。 昨晩はお陰様で肉体的にも精神的にもくたくたに疲れていて、普段より寝入りやすかった。 そのぶん寝起きは最悪ときたもんだ。 まぁ昨日の今日だから仕方ないんだけど。 動悸を抑えるために深呼吸をしていると、コンコンと扉がノックされた。 「なにー?」 「俺、入るぞ」 そう言って双子の兄である拓真が部屋に入ってきた。 きちんと制服を着て学生鞄とスポーツバックを提げているところを見ると、もう出発寸前のようだ。
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