第13話:かえる、心

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暗く落ち着いたダークブラウンの髪色は、日の光に当てられるとより暗く濃くなり、ただの黒にしか見えなかった。 髪の長さも少し短くなっている。 「どうしたの?」 「別に、前の色に飽きただけ」 含み笑いに疑心が抜けないけれど、飽きっぽさを盾にされたら納得するしかない。 「なんだよ」 それでも頭髪から目を逸らせないでいたら、恭介に頭をクシャクシャ乱される。 それを振り払うポーズをして止めさせ、乱れた髪を整えた。 一応はこれから放課後デートをすることになっているし。 「別に。……カッコイイなって」 「はは、スゲー今更」 「……すみません」 「冗談だよ、冗談」 そろそろ行こう、と恭介が私の手首をつかみ、歩き出す。 私は隙を見て、一度大きな手から自分のそれを引き抜き、空になった掌を握り直した。 「真琴」 通学路を闊歩して短い横断歩道の前で信号待ちをしているときに、グイと恭介に引き寄せられる。私と恭介の肩が並んだ。 「なに?」 「真琴はいつも可愛いよ」 「…………」 なんて答えたらいいのか分からず黙っていたら、また頭をクシャクシャにされた。
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