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明日からは頑張るから。
今日まではお願い、許してと誰かしらに請う。
ごめん、ごめんね拓真。
私、嘘つきなの。
知らない男に簡単に流される考えの足りない馬鹿な妹なんだ。
そうとは知らずに真剣に慰めてくれる拓真に申し訳ない気持ちでいっぱいで、泣くたびにひくつく喉を堪えることが、ますますできなくなる。
そうしている間にも拓真は両手で私を優しく抱き寄せ、肩を貸してくれた。
とん、とん、とあやすように背中を叩いてくれる。
私はこの優しい人の気持ちを裏切っているんだ。
この現実を胸に突き刺して、覚えておかなくちゃいけない。
少しずつ落ち着いてくると拓真が笑いかけてきた。
「顔洗わなきゃな、ヒドイ顔になってる」
「もう」
私は頬を膨らませて拗ねたふりをする。
私がもう平気だと分かった拓真は、ベッドから立ち上がりうんと背伸びをした。
「とりあえず、腹ごしらえしようぜ。飯食ったら嫌でも元気が出てくるって」
「うん、そうだね」
私も拓真に続いて立ち上がり、一緒に夕飯に向かうことにした。
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