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部屋の中は彼のイメージとは反してストイックなものだった。
必要最低限の家具しか置いておらず、雑誌だのゲーム機だのそういった物は無駄だと言わんばかりに、それ以外は本当に何も無かった。
リビングなんてテレビとテーブルとその下に敷かれているカーペットくらいしかない。
「ほら、喉渇いたろ」
彼は私の前でペットボトルに入っていたお茶をコップに注ぎ、手渡してくれた。
こういう時って変な薬とか入ってる場合もあるよね。
となかなか飲むのを躊躇していた私をよそに、彼はぐいっと残りのお茶を一気飲みして、そそくさとキッチンに戻っていってしまった。
あまりもの潔い飲みっぷりに私も喉の渇きを潤したい衝動を抑えきれなくなり、コップに口付けて飲み干した。
水分が体中に染み渡り、泥沼だった思考も晴れやかになる。
美味しい。
たったコップ一杯のお茶でここまで満たされるのは、これまでもこれからもこの一回きりだろうな。
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