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朝起きると、空が紫色だった。
そんな馬鹿な。これは空の色ではない。私はすぐにカーテンを閉めた。しかし、あのどぎつい真紫の空を思うと、悪寒が止まらなかった。
世界の終わりだ。そう思った。
しかし、やがて、おかしいのは私の方であることに気づかされた。
キッチンにいた妻が、こう言ったのである。
「今日も、いい天気ね」
妻は、緑色の顔をしていた。
私は朝食をとりながら、今日の予定について考えた。
まず、会社へ行き――昼休みに、病院へ寄ろう。
そうすれば、全て丸く収まるはず。医者ならこの異常に筋の通った説明をくれるはずだ。
しかしそうはならなかった。
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