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私が視線を戻すと、すでに男の姿はなかった。
私は立ち上がり、窓の外を見た。
空は、青かった。
そして太陽はいつものように輝いていた。
そのとき初めて気がついた。
当たり前に目にしてきたものが、当たり前ではなかった、という事実。そして、自分が、どれだけこの空の色を愛していたかを。
これが、世界のあるべき姿か。
――なんて素晴らしいんだろう。
私は感謝した。感謝せずにはいられなかった。世界が、このような姿であることに対して。だけど、感謝……? 一体、誰に対して?
私の脳裏に、設計者と名乗ったあの男のことが浮かんだ。
――そうか、それがさっきの……。
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