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並べられた机を払いのけ、細い通路を逃げる貴美鷹はもがいているようだった。
頭をおかしくする匂いが煩わしい。
本能に支配された頭で細い体を追い詰める。
教室後方に映写室。
自分が何を考えているかすら既に定かじゃない。
今すぐ踵を返し、さっき放り投げた鞄から抑制剤を飲めば決定打は免れる。
解っているが体は既に性交を求めてる。
匂いがする。
甘い匂いは、閉鎖された室内のせいかさっきより濃くはっきりと感じる。
体の中心でいきり立ったものはビクビクと脈打ちながら解放を待ってる。
口の中が唾液で一杯になる。
意識して口を閉めていなければ、吐き出す息と共にしたり落ちそうだ。
映写室の入り口にまで逃れついた貴美鷹獲物は、ガタガタと震えながらドアノブを回すのに手こずって、伸ばした手がその夏服のシャツに掠めた。
するり、逃れて映写室に滑り込む。
閉まろうとした防音扉に静稀は肘を押し込む。
不吉な音に怯んだ貴美鷹から扉を奪い、抉じ開ける。
身を引いた貴美鷹が、怯えていた。
―――壊したい。
散々壊されて、崩されてきたから、壊してやりたい。
辱しめて、ボロボロにして、その無垢な体に、心に自分を刻み付けたい。
この発情が、こんなに暴力的だなんて、知らなかった。
「ひぃっ?!」
襟を掴んで引き裂く。
生っ白く、薄い体が呼吸に動いていた。
キスなんて要らない。
告白も、了承も、合意も要らない。
「ヤらせろよ」
ただ本能のまま口走って首筋に噛みついた。
―――ここからだ。
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