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無口になった静稀の右手が、貴美鷹の几帳面に入れられたシャツの裾を学生ズボンから引き出す。
急いた手つきがベルトを上手く外せず、引きちぎろうとしてぐいぐいと引っ張る。
「クッソ、なん、だよ、なんなんだよ!いつもより、ヒデぇっ!」
呟く声で叫んだ静稀はまるで子どもだった。
上手く行かないことに焦れた幼児みたいにぐいぐいベルトを引っ張って、噛み締めた歯から唾液がしたる。
「あ、はっ、おれっ、おれがっ、はずすからっ」
もう訳なんてわかってない。
ただ甘い匂いがお互いを満たして、欲情が体の中に血液みたいに駆け巡って貴美鷹は口走る。
貴美鷹の膝上に跨がったまま、静稀は体を起こした。
荒く息をしながら、貴美鷹を注視する。
解かれた拘束に、今なら逃げるのは容易だった。
容易な、筈なのに。
カチ、
互いの荒い息だけが小さく聞こえる映写室を金属音が響く。
バックルをはずして、ベルトを解いて、そこで力尽きた。
目眩がする。
あとを引き継いだ静稀が、制服のボタンを弾いてジッパーを下げる。
しとどに濡れた白いブリーフの布が貴美鷹の形に張り付いて浮き上がっていた。
「っ。はぁっ」
「んっ!」
吐き出された息が予想していたよりずっと近い位置にあった。
くわと、口を開く気配。
「ぅひぃっ!?」
じゅるるるる、と射精したばかりの亀頭を吸われる。
さっきよりずっと強い電気が脳天に突き上げた。
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