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雲一つない青空は見上げると目が痛くなるぐらいで、申し訳程度に吹く風は生温い。そんな日だ。
友人たちと山の方にあるコテージに泊まりに来た俺は、そこから少し離れた場所にあるという、とある建物を目指していた。
「ここか……」
コテージ周りですら、自然がいっぱい!宿泊客以外誰もいない!って感じだったのに、ここはさらに人気を感じないし、何なら鳥とか虫の気配も感じない。いや、普段から感じ取ったことなどないけれど。
大きな道路からも離れ、細いけもの道を通ってきたその場所で、ぽつんと現れた目的の家。ちなみに平屋。天井高そうだけど。
「しっかし……雰囲気無いな!」
友人の1人の言葉に、俺も含め全員が頷いた。
いくら雑草が足元を埋め尽くし、ツタ植物が壁を覆っていようが、まぶしい日差しに照らされたその建物には恐怖感が足りなかった。
確かに窓は割れているし、一部壁もはがれている。ドアも時折吹く風によってガタガタと音を鳴らして今にも壊れそうで廃屋感を増してはいる。
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