どうしよう。

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 だがしかし、心霊スポットと言うには、やっぱり雰囲気が無い。ここに住んでいれば、お前んちお化け屋敷ー!とでも言われるだろうが、建物の前に立っただけで寒気がするような恐ろしさは無い。  ……そもそもここはどういう謂れがあるんだろうか。特に聞いていなかった事を今更思い出した。 「どうする?出直すか?」 「いや、わざわざもっかい来るほどじゃないだろ」  夜になればもう少し雰囲気が出るだろうが、コテージからここまでは結構な距離があった。暗くなったら足元も危ないし、なにより晩御飯はバーベキューだ。これから戻って準備をする・食べる・片づけるを考えると時間がない。  バスに酔った友人と付き添いでもう1人がコテージに残っていて、回復次第、食材の下ごしらえでも始めていてくれると言っていたけれど、時間に余裕があるに越したことはない。もう軽く探索して帰ろう。そういうことで全員の意見が一致した。 「ところでここ、どんな話なの?」 「さあ?」 「心霊スポットあるって言ったのあいつだからなー」  行ってみないかと言い出した友人は、バスで酔って撃沈している。『写真、よろしく……』と言って親指を立ててソファに沈んでいった。そしてデジカメを俺たちに託した。彼への土産の為にも、どんないわく付きかは分からないまま、とりあえず中に入ることにする。
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