空蝉《うつせみ》
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時は平安。 ある夏の日の昼下がり、一人の女流作家が文机に向かって何やら熱心に筆を走らせていた。 彼女の名は紫式部。 もちろんペンネームである。 若くして夫に先立たれた後、今は一条天皇の中宮彰子に仕えている。 ある時気まぐれに語った物語を彰子がいたく気に入り、早く続きをとせがまれるもので、こうしてせっせと執筆に勤しんでいたのである。
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