第二章【あの日の記憶】

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「んまぁ、でもさ。ずっと会えなくなる訳じゃないんだしさ、たまには電話とかするよ!」 藍莉の無理に元気に振舞おうとしている姿を見て、逆に心が痛くなった。 一瞬の沈黙が走る。 辺り一面の雪景色が余計に場の雰囲気を凍りつかせた。 「…うん。そうだよね。決まっちゃったことは仕方ないし、寂しくなったら電話してね。」 沈黙を破ったのはやっぱりすいねぇだった。 「そうだ!3月にみんなでお出かけしようよ!みんなで行きたいねって言ってた小樽また行こうよ!」 すいねぇの一言が場の雰囲気を少し明るくした。 年上の貫禄か、すいねぇは場を盛り上げてみんなを笑顔にするのが昔から上手い。 札幌市に住んでいる私達にとって、小樽は手軽にお出掛け出来る場所の一つだ。 電車で一時間しないうちに着けるので、休みの日にはよくみんなで小樽に行った。 そんな私達の思い出の場所。 「いいねぇ!行きたい!」 涙目のみんなの顔に前を向こうといつも笑顔が取り戻し始めた。
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