第一章【グラスに導かれて】

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女の子が羨む程、ツヤツヤの黒い髪。 少し鋭い目付き。 シャキっと着こなしたシャツ。 人影に隠れていた一人の男性が、おそるおそる声を掛けてきた。 「お前…もしかして…如月。」 「その顔は…理空…。」 ちょっと生意気なその口調。 声変わりして昔よりは低くなってるけど、聞いただけで誰が来たのかすぐわかる。 生意気だけど根は優しい、飛鳥理空。 会うのは小学校卒業以来だから5年振り。 私の今日の待ち人の一人。 やっと一人会うことが出来た。 それだけで、昔に戻った気分になれる。 「へへっ。久しぶり。小学校卒業以来だよね。理空あの時とあまり変わってないね。」 背は大きい方ではないし、顔は童顔だけど、鋭い目付きは昔のまま。 「久しぶり。何、お前急に照れてるんだよ。こっちばっか、見るなよ。てか、お前相変わらず背小さいな。今何センチだよ。」 「はぁ?小さいのはそっちだって一緒じゃん 。私これでも150センチはあるんだからね。正確にいうと154。」 ど、ど、どうしよう。 理空は昔から何かとつけて人に刃向かっていく性格だった。 キレの鋭さは今でも健在だったようだ。 久々の切り返しに思わずこっちも対抗しちゃったけど、緊張してこの先何話していいかわかんない…。 心臓の音が次第に速くなる。 いや。これは恋なんかではない。 ずばり焦りだ。 はやく誰か来て。
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