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女の子が羨む程、ツヤツヤの黒い髪。
少し鋭い目付き。
シャキっと着こなしたシャツ。
人影に隠れていた一人の男性が、おそるおそる声を掛けてきた。
「お前…もしかして…如月。」
「その顔は…理空…。」
ちょっと生意気なその口調。
声変わりして昔よりは低くなってるけど、聞いただけで誰が来たのかすぐわかる。
生意気だけど根は優しい、飛鳥理空。
会うのは小学校卒業以来だから5年振り。
私の今日の待ち人の一人。
やっと一人会うことが出来た。
それだけで、昔に戻った気分になれる。
「へへっ。久しぶり。小学校卒業以来だよね。理空あの時とあまり変わってないね。」
背は大きい方ではないし、顔は童顔だけど、鋭い目付きは昔のまま。
「久しぶり。何、お前急に照れてるんだよ。こっちばっか、見るなよ。てか、お前相変わらず背小さいな。今何センチだよ。」
「はぁ?小さいのはそっちだって一緒じゃん 。私これでも150センチはあるんだからね。正確にいうと154。」
ど、ど、どうしよう。
理空は昔から何かとつけて人に刃向かっていく性格だった。
キレの鋭さは今でも健在だったようだ。
久々の切り返しに思わずこっちも対抗しちゃったけど、緊張してこの先何話していいかわかんない…。
心臓の音が次第に速くなる。
いや。これは恋なんかではない。
ずばり焦りだ。
はやく誰か来て。
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