16人が本棚に入れています
本棚に追加
ねえやが死んだと手紙が来たの、と彼女は告げた。
「ずっとわたしの側にいてくれたから、わたしの病気が感染って、それで里に帰したの。田舎なら良くなると思って、でも、無駄だった」
わたしが殺したの、と彼女は伏して泣く。私はかける言葉を持たず、ただその小さな背中をさすってやることしか出来ない。
やがて充血した目で私を見上げ、彼女は苦しそうに言った。
「このままだと、次はあなたの番になる。だからもう終わりにしましょう」
彼女は立ち上がり、私に背を向ける。
「漫画、面白かったわ。本当にありがとう」
そのまま立ち去ろうとした少女に、私は慌てて声をかける。
「――待って! まだだよ。ここまできたんだ、せめて完結まで付き合ってくれないか」
彼女は答えないが、足を止めてその場に佇んで私の言葉を聞いてくれていた。
「僕に会いたくないなら、ノートだけこのベンチに置いておくよ。明日だ。明日、必ず仕上げてここに置いておく。だから最期にもう一度だけ、君に読んでもらいたい」
「明日」
「そう、明日だ」
「――……分かった」
そして彼女は立ち去った。私は安堵し、次にまだ決めてもいない結末を二十四時間で仕上げなければならないことを思い出して震えた。結末まではどう考えてもあと二十ページは必要そうだったからだ。
最初のコメントを投稿しよう!