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三日後、授業を受ける私の元をひとりの老人が訪れた。
彼は彼女の名を告げ、包みを手渡した。
彼女の家に仕える執事だという彼は、彼女は今朝、長野にあるサナトリウムに旅立ったと告げた。
「寂しいからと、ずっと拒否しておられたのです。それが、ついに決意なされまして……あなたのお陰だと仰っておられました」
「僕は何もしていませんよ」
「でも、何か物語りをしてくださったでしょう。それにどれほどお嬢さまが救われたか、私には良く分かるのですよ」
包みの中にはあのノートと封筒が入っていた。そこには彼女の想いが綴られていた。
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