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 謝られた理由を探っている僕の言葉を待たずに、彼女は続けた。 『私は、青君のことものすごく好きだけど、青君はちがうと思うの』  意味がわからない。あまり表に出さないように気をつけていたせいかもしれない。今、思いのすべてをさらけ出そうか。どんな言葉を綴れば伝わるだろうか。 『どうしてそう思うの?』  結局こんな言葉しか書けない。 『私にはわかるの。青君は、会えば私を嫌になる』  僕はなんと言い返せばいいのかわからず黙っていた。 『会ったこともないのに付き合っているとか、はたからみたらふざけていると思われるかもしれないけど、私は真剣だった。青君のことすごく好きだったし、仕事が辛いときでも、青君の存在が支えだった』  過去形が続く。胸騒ぎしかしなかった。 『私はこのままの関係を続けていきたい。だけど、青君は違うでしょう?』  会わずに、文字だけの付き合いを続けていく。それは嫌だった。僕は、彼女の顔を知りたいし、声も聞いてみたい。  ちゃんと会いたい。いつか、触れたい。 『僕は、違う』  今は、誤魔化すべきではないと思った。 『こんなに泣いているのに文字は震えたりしないでしょう。やっぱり文字で伝えられることは、ほんの少し。でもね、私は、この形だから、心から青君に恋をした。でも、もう、無理だっていうのも、わかってるの』  きっと別れを切り出される。 『会えなくていいから』  終わるのは何よりも嫌だった。 『今まで、ありがとう。青君のこと忘れない』  僕が『嫌だ』と打ち込む前に『バイバイ』と送られてきた。  そして、彼女はアカウントを削除してしまった。  
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