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(一寸先も見えない真っ暗闇。)
(どこかで無く夜鳥と羽虫の声。)
(強く引かれる左腕。)
(肌という肌に当たる木々の枝。)
(最後の葉を潜れば。)
「おや、今日はここに泊まりかい」
気づけば、マコトは机に突っ伏して船を漕いでいた。呆れた顔のツカサが笑っていた。
「よだれ、書籍に引っ掛けていないだろうね」
「……」
時間はもう午後七時。とっくの昔に講義時間は終わっている。
「……帰らせてもらうよ」
「ここは仮眠室じゃないぞ。もう十回は諌めているつもりだがね」
「……ああ、わかった……」
誰もいない図書館を後にすると、つるべ落としのせいか外はもう真っ暗で、学生の影もまばらだった。
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