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「始まりは美菜の机にラブレターが入っていた事だと思います。」
「ラ、ラララ、ラブレター?」と唇をヤバいくらいに復唱する犯罪者予備軍、娘&妹溺愛
コンビを何とか興奮させないように言葉を選んで、カスミは状況を説明していく。
「差出人は隣のクラスの上村みぬき(カミムラミヌキ)さん、かなりの美少女だけど、色々
謎ありきの女の子で、手紙の内容は“好きです。今日の放課後、屋上前の用具準備室で待ってます”的な感じだったと思います。」
「待ってますって、オイオイ、それってまさかぁっ!」
「ああっ!?親父!恋文!それも、女の子同士のあれかぁっ!?」
カスミの言葉を遮り、盛り上がり始める二人の変態。もう、突っ込む気力すら起きない。
二匹の尊大な空想は続く。
「いや、待てよ。そもそもあれだぞ?どうなの?パパ世代からすると、
今のジェンダーフリーな時代はあんまり理解がなくてな。」
「そんな事言ってると、時代に取り残されるぞっ!?親父ぃ!!考えてみろ!
ウチの可愛い美菜ちゃんと学校一(カスミの話にかなり盛ってる)の美少女のカップリング。
最高じゃねっ!?」
「そうかな?ちょい5分くらい考えさせてくれ!う~ん、いいかも、いや、どうだろう?」
「うん、そうですよね…お二人共、だいぶ落ち着いて。二人の妄想談義より、ご本人の
気持ち大事ですよね?美菜はそれで悩んでる訳ですから。」
「あっ、そうですよね!お友達のカスミさん!よーく気持ちわかってるうぅ~!!」
「常識だろ…」
「うん?何か?」
「いえいえ、何でも!」
「親父、そんな事より、時刻は体育の時間だ。皆が体操着姿で、出てきたぞ?勿論、ウチの
美菜ちゃんもだ。いやぁ~映えるな!可愛いなぁっ~!!」
「ああっ、私の不在を不審に思った友達やら、先生やらが、家庭に連絡しないのかな?
それとも、誰も気づいていない…(兄の方が、ウン?何か?と聞いたので、慌てて言葉を
返す。)
あっ、今日は合同体育ですね。あそこの真っ青な感じの肌質の子が上村さんです。いつもは
休んでいるんですけど、今日は元気ですね!ほら美菜の傍に寄って、何か囁いている子です。」
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