別の場所

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「夏野の事が好きだ」 私はドストレートな部長の言葉に 驚きを隠せずにいると部長は 慌てて真っ赤になった顔を背けながら 立ち上がった。 (・・・こんなストレートな告白・・・ いつぶりだろう・・・?) そう思っていると部長はまた 静かに振り返りながら言った。 「ずっと一生懸命に 仕事に向き合う姿が好きだった。 でも会社では上司と部下。 気持ちを隠そうとしてたら今朝の 2人を見て、なんかこうモヤモヤして・・・」 そう言いながら胸の辺りを握りしめている。 部長、星野 薫(ほしの かおる) 31歳。玲ちゃんと同期で仕事ができる。 噂では独身らしいが実際は不明。 後輩の面倒見が良くて性格も凄く優しい。 黒髪の眼鏡男子で冴えないイメージ。 真面目で仕事ができる。 恋人や将来の事を考えると申し分ない人だ。 ただ、何故か彼の背後に漂う 暗いオーラが気になってしまった。 私は考える時間が欲しいと言うと 部長はもちろん!と続けて言った。 「俺は今日の午後から出張だから 返事はいつでもいい。 ゆっくり考えて。良い返事を期待してる。」 (・・・ヴ・・・ 良い返事を期待・・・?) 断らせないと言われているような気がして 私の中で少しひっかかる。 部長が一足早く部署へ戻った。 私は屋上のベンチで少し考え事をしていた。 (なんか・・・モヤモヤするな・・・ 準の事・・・部長の事・・・プール・・・) ハッとした。 「そうだ!プール! モヤモヤした時に入るプールが無いじゃん! ・・・早く次の場合見つけなきゃ・・・」 そう呟いていると携帯がなった。 開いて見ると清からだった。 「今日の夜、仕事終わりに会えないかな? って言っても俺が終わるのは夜中だけど(汗)」 私は玲ちゃんを誘い清の居る ホストクラブに行く事にした。
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