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──フローラの自我は淡雪のごとく果てしのない虚無の中で立ち消えようとしていた。
と、その時、一条の陽光がフローラの意識に射し込んできた。彼女の“超超自我”が遥か古代から時空を超えて遺伝する霊的超精神力を発現させたのである。
フローラは波激るような気力とともに我を取り戻して言い放った。
「それなら私はその宿命の蛇の輪を断ち切るまでよ!」
一瞬オレンジ色の光が閃いたかと思うと、目の前のヴァーチャル空間の全ての物が消え、周囲は元の地下室に戻っていた。
細切れになった麻縄が木製の椅子の周りに散らばり、その横には、縛しめから解き放たれたエージェント・フローラが仁王立ちになっていた。その左手の腕時計からはビーム・ワイヤーの脈打つ光が伸び出していた。
ドクター・バイパーとその助手やまかがしはおののき慌てて逃げ出そうとした。
「思い知れっ」とフローラが叫び、ビーム・ワイヤーがブンと唸りを上げたかと思うと、ドクターとその助手の胴体から切り離された二つの首が暗闇の彼方へ飛び去っていった。
ミスター・サーペントは「私に勝てると思うな!」と言い残し、その身を翻して走り去ろうとした。
「私は負けないわ!」フローラはビーム・ワイヤーを敵めがけて振り放った。
暗闇を斜め真っ二つに切り裂くように目も眩むようなオレンジ色の閃光が走った。
(了)
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