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琴子さんが笑わないのにも、いつもひとりでいるのにも深くて悲しい理由があって、それはたぶん僕じゃどうにもできない。
でも。
ノラ猫ってわかっていても、僕を追い出さない優しい琴子さん。ご飯を常にいちばんいい状態で出しておいてくれる、思いやりのある琴子さん。
僕も、琴子さんの素敵な笑顔を見たいよ。
だから、僕は毎日ここにくるよ。いつまでもくるよ。
琴子さんがまた笑顔を取り戻すのを、そばで静かに見守ろう。
琴子さんがこれ以上寂しくなってしまわないように、悲しんでしまわないように、僕は頑張ってできるだけ長生きをする。
今の人生で取り戻せなかったとしても、大丈夫。
琴子さんが空に還るときには、僕は琴子さんをさらって銀の舟に一緒に乗せてあげるから。
月の光のシャワーを浴びながら、美しい星の海をずんずん進む舟の上で、琴子さんの大切な二つの星を探そう。
僕は、目を血眼にして、杏ちゃんと、パパの星を見つけてあげる。
その隣に、並べて琴子さんの星を置いてあげる。
それが、僕の愛の形。
(fin)
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