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「凛乃もシャワー使う?」
パンツ一丁の恭ちゃんは、バスタオルで髪をゴシゴシ拭きながら戻ってきた。
「うん、借りたいな」
私は重ねておいた服を持ち、脱衣所へ向かう。
「タオル、いつものとこだよ」
「ありがとう」
洗濯機の上に着替えを置き、磨りガラスになっている脱衣所の扉を締めてもう入り慣れた浴室に入った。
シャワーを高い位置にセットして出し、頭から浴びながら目を閉じる。
さんざん圭に尽くしてきた私だけど、恭ちゃんに対しては全く違う。
それこそ、恋人同士の営みはするけれど、ひとり暮らしの彼のために手料理を振る舞うだとか、掃除をするだとか、こまめに連絡をするだとか、記念日を祝うだとか、したことが無い。
むしろ、付き合った日付さえも忘れてしまった。
それでも好きでいてくれるなんて、恭ちゃんはなんて心が広いんだろうと思うし、この人を本当に好きになれたらどんなに満たされるだろう、と、常々思う。
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