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「恭ちゃん、ドライヤー借りるね」
シャワーを済ませて下着を身につけると、髪を拭きながら恭ちゃんに声をかけた。
「いつものとこ!」
「はーい」
ちらっと部屋を覗くと、電気とテレビがつき、ベッドは綺麗に整えられていた。
洗面台の下の収納からシルバーのドライヤーを取り出す。
恭ちゃんはサスペンスドラマでも見ているのか、男性俳優のシリアスな言葉と音楽が聴こえてくる。
失恋後、圭の好みに合わせて伸ばしていた長い髪をショートまでバッサリ切った。
けれど今はもうその髪も肩につくようになり、時の流れを感じる。
さらに私自身は今くらいの長さのボブが好きだな、と新たな発見もあった。
前にふと、恭ちゃんに女性のヘアスタイルの好みについて聞いたことがあったけれど、
「凛乃はなんでも可愛いよ」
と、彼らしいお手本のような返答がきた。
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