未来へ結ぶ想いのかたち

1.弱さ

外は涼しい風が心地よく、空を見上げると半月がひっそりと輝いていた。

恭ちゃんのアパートから細い通りを抜けて、大通りに出れば駅までは一本道だ。
住宅地だけど外灯が多く車の通りも多いので、1人で歩くのを怖く感じたことは無い。

私は大きく息を吐いてから、スマホを取り出した。
希美からのLINEを思い出し、画面を開く。

［今から桜木駅で飲むよ！凛乃も暇だったらおいで！］

明日は土曜日。
土曜保育の当番でない私は休日だ。

［いまからいく！お店教えて？］

と迷わず返信した。

頼まれてもいないのに圭に遠慮して、交際中はなかなか飲み歩くことなんてなかった。
圭と別れてから、私の交友関係はじわじわと広がっている。

それと共に、彼のことを考える時間は減ってきた。
私の心は変わらずほとんどを彼が占めているというのに。

それでも、私は今まで圭に固執して狭い世界で生きてたということ、圭と付き合うことはいい事ばかりだったわけじゃないということに、少しずつ気付き始めていた。