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私は、可哀想じゃないよ。
憐れじゃないよ。
悲劇のヒロインになんてなりたくないよ。
なんかもう、いいや。
どうせもう綺麗じゃないし。
いい子でもない。
「圭、私ね、好きな人が出来たの。一つ年下のすごく素敵な人。桃也くんには、その相談にのってもらってるだけ」
圭と桃也くんの友情は壊したくない。
「だから、心配しないで。もう電話もしないし、圭を困らせることはしないから」
圭と別れて、恭ちゃんを壊して、桃也くんを好きになって、優羽くんに逃げた。
そんな私は、嘘をついても心が痛んだり後ろめたくなったりすることはなくなっていた。
私が無言で封筒を渡すと、圭は無言のままそれを受け取ってその場をあとにした。
圭の顔は見られなかった。
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