1.弱さ

19/19
1766人が本棚に入れています
本棚に追加
/452ページ
「俺なりに、好きだと思って付き合うんだけどね。相手には全然足りないみたい。それで不安になって辛くなるんだって」 …。 その時浮かんだのは、恭ちゃんの優しい顔。 「そうなんだね」 「フラれれば俺だって普通に傷つくけどね、“そんなこと思ってないくせに!”って吐き捨てられたよ…」 「…。」 胸がズキズキと痛む。 「…凛乃ちゃん?ごめん、こんな話」 「あっ、ううん。ちゃんと好きになってから付き合わなきゃね」 自分への言葉だ。 「うんまあ…そうだよな」 「フラれた者同士頑張ろうね」 「ははっ。同盟でも組むか」 「あははっ」 タクシーに乗ると、当然のように私のアパートから回ってくれた。 当然お金を渡そうとしたけれど、桃也くんは「お大事に」と笑顔で手を振ってそのまま去っていってしまった。
/452ページ

最初のコメントを投稿しよう!