1766人が本棚に入れています
本棚に追加
/452ページ
「俺なりに、好きだと思って付き合うんだけどね。相手には全然足りないみたい。それで不安になって辛くなるんだって」
…。
その時浮かんだのは、恭ちゃんの優しい顔。
「そうなんだね」
「フラれれば俺だって普通に傷つくけどね、“そんなこと思ってないくせに!”って吐き捨てられたよ…」
「…。」
胸がズキズキと痛む。
「…凛乃ちゃん?ごめん、こんな話」
「あっ、ううん。ちゃんと好きになってから付き合わなきゃね」
自分への言葉だ。
「うんまあ…そうだよな」
「フラれた者同士頑張ろうね」
「ははっ。同盟でも組むか」
「あははっ」
タクシーに乗ると、当然のように私のアパートから回ってくれた。
当然お金を渡そうとしたけれど、桃也くんは「お大事に」と笑顔で手を振ってそのまま去っていってしまった。
最初のコメントを投稿しよう!