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今の私にとって、何も予定のない休日ほど怖いものは無い。
今日は土曜日。
朝方ぼんやりと起きた後、二度寝をした。
寝たのは3時頃だったから。
ベージュ色のカーテンをシャッと開けると、私は目を細めた。太陽の位置は高い。
私の心とは正反対の澄み切った青空にため息が出る。
ふと、窓から見えるイチョウの木がずいぶん色づいてきたことに気づく。
窓を開けると、嫌な女の1Kの部屋を浄化するかのような、気持ちのいい秋風が入り込んできた。
冷蔵庫から飲料水を出し、透明なグラスに注いでごくごくと水を飲みながらスマホを見ると、通知が2件来ていた。
昨晩0時、恭ちゃんから。
[無事着いてる?]と、一言。
[ごめんね、寝ちゃってた!]と一言返す。
すぐに既読がついたのには少し驚いた。
そしてもう1件は、沙織からだった。
[凛乃げんき?ちょっと、話したいことあるんだけど、今夜会えるかな?]
…。
なんだろう。
いつも絵文字がたっぷりの彼女の文面に、絵文字がないのが気になった。
[今晩、空いてるよ!時間と場所は沙織に合わせる!]
送ってすぐに、またLINEの通知音が鳴る。
恭ちゃんからだ。ちょうど昼休みなのかな。
[良かった無事で!今日、泊まりに来る?]
[夜に沙織と会うから、また連絡するね。]
[了解!]
そして最後に、
[桃也くん、昨日はありがとう。]
と差し障りのない文章を送った。
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