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「えっと…どうって…?」
突然のことに、私は明らかに動揺してしまう。
沙織の質問に答えられないこと自体を、答えと受け取ったのだろう。
沙織は、食べかけのカルボナーラを見ながら、言い出しにくそうに口を開いた。
「あのね、りゅうくんから聞いたんだけどね」
りゅうくんは、沙織の彼氏。
「えっと…お友達の中で、凛乃のことがあんまり良く思われてないみたいで」
沙織の言葉を追いながら、その意味を理解するのでやっとだった。
「え…?」
「恭介くん、凛乃と付き合ってから、どんどん元気がなくなっちゃってるらしくね。その…ほら、凛乃、元カレのこと、まだ好きなの…?」
「…。」
「こんなこと、さおりが言うのもおかしいんだけど…りゅうくんがね、恭介くんと別れてやって欲しいって」
「…。」
思いもよらなかった話を、頭の中でやっと整理する。
胸が、ズキズキと痛い。
沙織への言葉が見つからない。
「2人のことなのに、口出しして本当にごめんね。元はと言えば、さおりが無理矢理紹介したのに…」
沙織は悪くない。
私のために、あんなに素敵な人を紹介してくれたんだ。
それなのに、私は─。
恭ちゃんが元気なかったなんて、全然気づかなかった…。
「うん…わかった。私の方こそごめんね。さおりが悪いわけないよ。りゅうくんにも、ごめんなさいって伝えてくれる?」
沙織の顔が、見られなかった。
何やってるんだろう。
恭ちゃんを傷つけて。
りゅうくんを怒らせて。
沙織にこんなこと言わせて。
こんな顔までさせて。
最低だ。
最低だ。
最低だ。
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