2.後悔

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『俺、今出かけて帰るとこなんだけど拾おうか?車だし』 「えっ!悪いよそんな、大丈…あっ」 思い出した。 このズボン。 ナチュラルな白のズボンに、ところどころ茶色の模様。 明るいところへ行けばさらに目立つだろう。 土曜といえど、住宅街の小さな駅だから、タクシーは待機していない。 『ちなみにどこにいるん?』 「三俣駅の近く…」 『あっ、それならすぐだわ。駅で待ってて』 「ありがとう…助かる」 なんてタイミングのいい人なんだろう、桃也くん。 持つべきものはやっぱり友達だな。 ***** 「お待たせー。なんでこんな暗い所?」 10分も待っていない。本当にすぐだった。 私は、スボンの汚れが目立たないように、駅の改札から少し離れて暗いところで待っていた。 桃也くんは、白い車に乗って現れ、助手席側の窓を開けた。 車に詳しくない私はよく分からないけれど、四角いシルエットが印象的な5人乗りの車だ。 白車の王子様だなぁ、なんて心の中で呟いてみる。 「わざわざ拾いに来てくれてありがとうね」 圭の電話のことを、彼の親友に話したくてウズウズしながら助手席のドアを開けると、 「…凛乃ちゃん、転んだりした?」 同時にパッとルームランプが付き、私のズボンの汚れもパッと照らされた。 「あっ…うん、さっきそこで、ちょっと」 ルームランプは盲点だった。 まずいっ…っていうのが顔に出てしまったと思う。 桃也くんの目が見られない。
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