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「桃也くん、」
「なに?」
「あの…この先のコンビニに寄ってから帰りたい」
やっと出てきた言い訳に、声が強ばった。
私の鼓動はこれでもかと速くなっている。
「えっ、でももう遅いし…」
「お願い!」
アパートが近づきスピードを緩め始めた桃也くんに、思わず大きな声を出してしまった。
「うん、わかった」
恭ちゃんの車の横を通り過ぎる時、私は下を向いて、両手をギュッと握った。
彼が車にいたのかは、分からなかった。
恭ちゃんは、部屋に上がったことはないものの、車で送ってもらったり、迎えに来てもらうことはあった。
どうして来たんだろう。
あのまま、別れたと思っていた。
違ったのかな。
今更話すことは無い。
やっぱり私…怖かったんだ。
恭ちゃんがいると思ったら、怖くてたまらなくなった。
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