プロローグ

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新木凛乃(あらきりの)23歳。 職業、保育士。 進学系の高校、保育系の短大という学生時代を送った私は、素行は真面目で成績も良く、多くはないけど信頼出来る友達がいて、先生とも上手くやる優等生タイプだった。 外見は…小動物みたい、と、褒めているのか気を使ってるのかよく分からない言葉で表現して貰うことが多い。 私には、付き合って4年を迎えようとしていた、月島圭(つきしまけい)という初恋の彼がいた。 出逢いは、学生時代のアルバイト先が一緒だったこと。 大手チェーンのレストランだった。 同世代のバイトが多く、よく皆で遊んでいた。 その中で、圭の真面目で丁寧な仕事ぶりや男らしい笑顔に惹かれ過ごすうちに、圭が真っ直ぐに好きと言ってくれたことがきっかけだった。 付き合ってからの圭は優しかったけれど、初めての彼氏で初めての事ばかりだった私は、いつも彼に遠慮してしまっていた気がする。 寄り添いあうとか、ふざけ合うとか、恋人同士にとって大切なことが私にはなかなか難しかった。 だから時々、「私のことじゃなくて、“圭のことを好きな私”のことが好きなんだろうな」なんて思って不安になった。
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