2.後悔

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車は、コンビニの駐車場に停まった。 店内にお客さんは見えず、雑誌のコーナーを整理していた店員さんがチラリとこちらを見た。 店内の明かりで運転席は照らされている。 そのまま動かない私に、桃也くんが口を開いた。 「何が必要?俺、買ってこようか?ズボン…それじゃ」 呆然としたまま、泥だらけのズボンに目をやる。 なんて見っともないんだろう。 なんて汚いんだろう。 私は、ズボンだけじゃなくて、心も体も汚い。 そう思わずにいられない。 どうすれば良かったんだろう。 そして、汚れを見て再び蘇る記憶。 ボタボタと、涙が零れ始めた。 顔を見られたくなくて下を向いたけれど、涙は私が握りしめている手の甲に落ちるので、隠しきれない。 「…凛乃ちゃん?」 …降りないと。ドアに手をかけた時だった。 「さっきの車、知り合いなの?乗ってたの男だったね」 ドクン、とした。 桃也くんが勘づいたことよりも、恭ちゃんが乗っていたということに。 「…。」 「その汚れも関係ある?」 「…これは…転んで…」 どうしよう。涙が止まらない。 桃也くん、怪しんでる。 これ以上迷惑はかけられない。 とりあえず降りて、 コンビニで時間を潰して、 それで…それで…。 私は、久しぶりに両親も兄弟もいないことを恨んだ。 こんな時、何も考えずに頼れる人がいたならきっと真っ先にその人のところへ行くんだろうな。 桃也くんが、ふーっとため息をついたことでハッとした。 「あっ、私…」 「もう今日はうち来な」 えっ…と…?
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