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『桃也、俺と凛乃が付き合い始めてすぐのタイミングで告ってきた子と付き合い始めて、それからは来る者拒まず去るもの追わずだった』
「希美に聞いたよ、最近」
『それまでは、告られても断ってたんだ。なのに、突然変わった。でも彼女ができても、別れても、凛乃にだけは話さなかった、あいつ。よく会ってたから話すタイミングなんていくらでもあったのにな』
「……?」
『彼女いても、俺と凛乃が誘うとこっち来てたし…。だから俺も話さなかった。話せなかった。凛乃と別れた時、桃也に』
再会した時の、桃也くんの言葉を思い出した。
“俺、別れたって聞いたのつい最近なんだ”
“あれから半年も経ってるのに?”
『桃也の気持ち、ずっと知らないフリしてた。桃也自身自覚してなかったのか、自覚しないようにしてたのかわかんねーけど。まあ、結果、俺すげー嫌な奴なんだ』
「……それって」
『でも、今はそうなればいいと思ってるよ。心から。とにかく、桃也はずっと凛乃のこと見てた』
私が何も言えないでいると、
『大事にしてくれるよ、絶対。だから言ったろ?
“年上で、優しくて、よく気が付くやつ、俺と正反対な。周りにいない?”って』
そう言って、圭は電話を切った。
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