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「桃也、ただでさえ土曜の休出なのにまだ残業?」
気づけば時刻は21時を回っていた。
パソコンの画面から目を離すと周りのデスクはすっかりがらんとしていて、背後には誠が立っている。
「俺はもう少しやっていくけど誠は帰れよ。音ちゃんから着信あったんだろ?向こうに必要な資料もまとめないといけないんだ」
「アメリカの?」
「ああ」
「手伝えることあるか?」
「大丈夫かな」
「桃也さ」
「ん?」
「何かあったのか?最近余裕ないだろ。顔色だって悪いぞ」
「いや…。まあ、久しぶりの英語は多少不安かな」
「…飲みにでも行くか?」
「んー。今日はやめとく。ありがとな」
「明日はゆっくり休めよ」
誠の言葉に返事をすると、離れていく足音を聞きながらまた資料に視線を戻した。
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