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「…帰るか」
[22:38]
本当は資料はとっくに出来上がっているし、それは何度も見直した。
パソコンをシャットダウンして身支度を始める。
会社にいた方が気が楽で、そうしていたに過ぎなかった。
ここ数日で色々思い出していた。
“私、凛乃さんに意地悪言いました。桃也さんと私の仲を勘違いしてるはずです”
まゆかちゃんの言葉。
“じゃあどうしてまゆかちゃんちに行ったの?”
“部屋に忘れ物する仲だったんでしょう?”
凛乃ちゃんの言葉。
深く考えなかった自分を悔やむ。
どんな話をしたのかもっと深くまゆかちゃんに聞いてみるとか、凛乃ちゃんに話をするとか、なにか出来たはずだ。
凛乃ちゃんを抱いた夜も、彼女の頭の片隅にはそれがあったのだろうか。
“…私だって、好きじゃなくてもするし、セフレみたいな人だっているし、そういう女だから。桃也くんもそのひとりだよ”
大きなため息をついて、さらに思い出してしまったのは、圭との電話だった。
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