1780人が本棚に入れています
本棚に追加
『凛乃ちゃんに、告白したいと思ってる』
たくさんの言葉の中から、1番シンプルなものを選んだ。
『…やっとか』
『……』
やっと…?
一大決心で挑んだ俺にとって、圭から返ってきた言葉はあまりにも予想に反していた。
『わざわざ俺に連絡。桃也らしいな。凛乃のこと支えてやって。凛乃は、俺には上手く甘えられなかったみたいだな』
『そんなこと…あのな圭、俺、今までは凛乃ちゃんのことそんな風には』
『はは、そうか?』
『他に彼女だっていただろ?』
『ああ、そうだったな。悪い、いま勤務中なんだ』
『ん…?でも』
圭の非番を選んで電話をかけたつもりだった。
『あー…特別な張り込み』
『まじか。悪かったな、仕事中』
『いや、また落ち着いたら飲みに行こう。応援してる』
落ち着いた声色で、圭はそう言った。
─12月末の夜、この時、圭がストーカー被害に遭った凛乃ちゃんを護衛していたと知るのは、かなりあとのこと。
最初のコメントを投稿しよう!