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「……寒いな、部屋、上がって」
ヒックヒックとまるで子供みたいに泣きじゃくる私をひとしきりなだめてくれた桃也くんは、落ち着いた声で言った。
「……って、心から言いたいところなんだけど」
「え?」
「先に言っておくけど散らかってるよ、ごめんね」
「……うん?」
今まで桃也くんの部屋が散らかっていたことなんて、一度もなかった。
「少し、散らかってる…ね。ふふっ」
「…」
リビングの明かりがついた瞬間、泣き腫らした目を丸くしてから思わず笑ってしまった。
「忙しかったんだね」
「……忙しかったのもあるけど」
なんだか横目で見られている。
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