プロローグ

4/4
前へ
/452ページ
次へ
圭は大学卒業後、警察官の道へ進んだ。 警察学校ではスマートフォン没収なので、休日までの1ヶ月間連絡ひとつとれないこともざらにあった。 恋人とは当然のごとくマメに連絡を取り合う友人を後目に、私は弱音を吐かず、プライドの高い彼を立てた。 そして、会える時はすべての時間を彼に捧げた。 我ながら、健気に支えてきたと思う。 傍から見れば私は“一途で優しい彼女”だったはずなんだ。 もちろん、彼の目にもそう映っていると思っていた。 圭の家族とも仲が良かったし、1年間の辛い警察学校時代を一緒に乗り越えた私たちは、安定した付き合いを続けてると思っていたんだ。 結婚願望の強い私は、[23歳くらいで結婚したいなあ]なんて、ぼんやりと考えていた。 その大好きな彼氏に突然フラれたのは、私の23歳の誕生日の前日、忘れもしない3月2日だった。 翌日、私は独り涙まみれの誕生日を迎えて23歳になった─。
/452ページ

最初のコメントを投稿しよう!

1783人が本棚に入れています
本棚に追加