青い画面と、サースデー

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青い画面と、サースデー

 水曜日が廃止され、数週間が「総理!!!」 「ああ! もう分かった、ブルーサースデーだろう!?」 「違います……」 「なに?」 「……ンデーです」 「なに……?」 「ブルーサンデーです!」 「な、なんだとおおお!?」  見て下さい、と例によって青井はノートパソコンを見せてくる。 「な、何かの間違いじゃあないのかあああ!」 「ああ、総理! そんなにマウスをカチカチしたら!」  パソコンの画面が、真っ青になる。  久方ぶりに見るブルースクリーンに、うっすらと私の青ざめた顔が写りこんでいた。 「……済まない、少し落ち着こう」  私は、ブルーボトルコーヒーを一口、飲み込んでから青井に訊ねる。  どうしてこうなった? 「総理はお感じになられませんでしたか。休みが終わっていく日曜日の絶望感」 「……うむ」 「木曜日は、金曜日働けば二日間休めるからそれほど憂鬱ではありません。むしろ、休みが終わっていく日曜日! 学校や仕事に行かなければならないと考えてしまう日曜日に、大きな精神的負荷がかかるようになってしまったのです!」 「ぐおおおお! 確かに月曜日があった時も、日曜日の終わりがけは憂鬱だった!」 「どうしますか、総理」 「……やるしかないだろう、これは」 「まさか、日曜日を」 「違う、木曜日だ」 「も、木曜日の廃止ですか!?」 「考えてもみろ。このまま単純に日曜日を廃止すれば、木・金・土、二日労働の一日休み。これはあんまりだ。不平等にも程がある」 「五日働いて、二日休んでいた時代もありましたが」 「今では考えられん。想像しただけでも憂鬱で死にそうだ」 「では、木曜日の廃止するのですね」 「ああ。金・土・日、一日働いて二日休む。日曜日の夕方を迎えたとしても、たった一日働けば休みだという圧倒的安堵感。盤石すぎる。これほど盤石な曜日構成はもうないだろう。最強の布陣だ。なぜ最初からこうしなかったのか、疑問に思えてくる」 「天才です、総理。では、国民へ布告を」 「ああ」  フラッシュを浴びるのも、これで最後になるだろう。  私は四度目の光の世界へ飛び込むのだった。
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