邂逅

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 私はきっと幸せでした。両親も優しくて、友達もたくさんいて、好きな人も理想的で。満ち足りた人生、というのでしょうか。私は素晴らしい生を歩んでいました。謳歌していました。  周りは、本当に申し訳ないくらいに、嘆かわしいことばかり起こるのです。友人に裏切られる人や、好きな人に騙される人、親と呼ぶべき人たちに頼れない人など、様々な理由で「幸せだ」と言えない人たちが沢山いたのです。私はいろんな人のいろんな話を聞きました。哀れだと思いましたし、そう伝えました。そして必ず、こうも伝えました。 『今は辛いかもしれないけれど、きっといつか報われるはずだ』、と。 『あなたが報われるように私も祈りましょう』、と。  皆は泣いて喜びました。あなたがそう言ってくれるなら、きっとそうに違いない。報われるその日まできっと強く生きてみせる。生き抜いてみせる、と。私も幸せ、彼等も幸せ。そんな平和な毎日でした。私にだって悲しいことがない訳ではありませんでしたし、私の『言葉』を胡散臭いだの、上っ面だけだの、偽善的だの、悪く言う人たちも沢山いましたから。ある日突然「嘘つき」と私の頬を叩いて泣き崩れる人もいましたし。見知らぬ人に唾を吐かれることや、石を投げられることもありましたし。  それでも私はそれが私の定めだと思っていました。  だって。  だって、私には『神様』の声が聞こえたのですから。私の使命、そして、その使命故に苦しむだろうことを、最初から聴いていたのですから。  だから、平気ではありませんでしたが、耐えられました。私の生きる上での避けられない道なのなら、受け入れた方が早かったのです。私の不幸はきっと、他の誰よりも軽いと、そう思っていました。
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