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朝起きて、震源地は北海道胆振地方だと知った。僕の住む地域からそう離れてはいない。ということは小鳥遊は大丈夫だ、まずそれにほっとした。逆に小鳥遊から、僕の安否を確認するラインが入っていた。僕も作品も無事だと告げると、作品の下敷きになってるんじゃないかと本気で心配した、と返って来た。次いで北海道全域で停電であること、札幌等では断水が始まるということを教えられた。僕より小鳥遊の方が情報が早い。一応風呂場に水を溜めておけ、と言われたのでそうすることにした。水道もガスも生きていた。東京に住む兄と実家の母からもラインが入っていた。実家や前職場のある道南も揺れたようだ。渡島半島が内浦湾を囲う形にぐるりと丸まっておらず、日本海側に真っ直ぐに伸びていれば、道南で被害はなかったろうに。実家や前職場に愛着は全然ないけど、そう思った。
バイト先の居酒屋スタッフのライングループでもやり取りがなされていた。一番長く(といっても一年半くらい)勤めている後藤さんが『みんな生きてるか―?』と呼びかけたのが午前三時二十四分。地震のすぐあとだ。彼のバイトの優先順位はどれほど高いのだろう、と思った。後藤さんは大学生で部活に入っていて彼女がいるはずだが、一位彼女、二位バイト、三位部活、くらいかな。僕の頭にはバイトのバの時も浮かばなかった。他のスタッフも後藤さんの呼びかけにすぐ返信していた。『生きてます!』『死ぬかと思いました』等々。死ぬかと思ったのか。そう答えている専門学生の表現は誇張かもしれないが、やはり僕ももっと緊張した方がいいのかもしれない。
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