ゴーレムの少年

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 一人ぼっちの生活にも大分慣れたものだと考えながら、僕は必要な薬草を掻き分けて探し出す。  ごわごわとした大きめのマントがずれるのも構わずにそれに手を伸ばし、力任せに引っこ抜いた。苦労して引き抜いた新緑の薬草を腰にぶら下げた小さなバッグにいれると茂みから這い出る。 「はぁ…厄介な場所に本当に生えてるなぁ…」  自作の野草などを書き溜めたノートに目を落とす。そこには先ほど取った薬草の絵が描いてある。葉をすり潰して、花の蜜に溶かせば切り傷など裂傷を治す軟膏がこれで作れるはずだ。花の蜜は前に採ったものがまだ棚の奥に残っているはずだ。それと合わせれば少なくともこれから来るはずだろう少年に渡す分は作れるだろうと考える。 (って、なんでまたあいつの事考えてるんだ…!!)  ぶんぶんっと頭を振り、そうだ別にこれは彼のために採っているわけじゃないと自分に言い聞かせる。彼が性懲りも無く、いらないと言ってるのにもかかわらず毎回料理を持ってくるので、何も返さないままではアウエンミュラーの家名が廃る。なので、家名のためにもこれは必要なことなのだ。     
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